副業をしている会社員にとって、毎年11月ごろに勤務先から届く年末調整の書類は迷いどころが多いものです。「副業の収入も書くのか」「副業先でも年末調整を受けるのか」「確定申告とどう分担するのか」。この記事では、国税庁の「年末調整がよくわかるページ」と令和8年分の公表資料をもとに、副業がある人の年末調整を整理します(確認日:2026年10月6日)。
結論を先にまとめると、次のとおりです。
- 年末調整は、扶養控除等(異動)申告書を提出した本業の勤務先1か所で受けます。副業先で2回目の年末調整を受ける仕組みではありません。
- 年末調整で精算されるのはその勤務先が支払う給与にかかる所得税だけです。業務委託などの副業所得や、副業先のアルバイト給与(従たる給与)は、原則として翌年の確定申告で精算します。
- ただし基礎控除申告書には「給与所得以外の所得」も含めた合計所得金額の見積額を書く欄があり、副業所得はここに関係します。
- 令和8年分は基礎控除の引上げ(最大104万円)と給与所得控除の最低保障額の引上げ(74万円)が、12月の年末調整でまとめて精算されます。
確定申告の全体像は副業の確定申告のやり方でまとめています。この記事は「年末調整の段階で何をするか」に絞って解説します。
年末調整と確定申告の役割分担|副業がある会社員の全体フロー
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税(復興特別所得税を含む)の合計額と、1年間に納めるべき税額との差額を、勤務先が精算する手続きです(国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」)。一方の確定申告は、1月1日から12月31日までの所得をすべて合計し、本人が税額を確定させる手続きです(国税庁「No.2020 確定申告」)。
副業がある会社員は、この2つを次の順番でつなぎます。
| 時期 | 手続き | 誰がやるか | 副業との関係 |
|---|---|---|---|
| 11月〜12月 | 年末調整の申告書を提出 | 本人→本業の勤務先 | 基礎控除申告書に給与以外の所得も含めた見積額を記入 |
| 12月(最後の給与支払時) | 年末調整の計算・精算 | 本業の勤務先 | 精算されるのは本業の給与分のみ |
| 12月〜翌1月 | 源泉徴収票の受け取り | 勤務先→本人 | 確定申告で使うので保管する |
| 翌年2月16日〜3月15日 | 確定申告(必要な人) | 本人→税務署 | 副業所得・従たる給与をまとめて精算 |
確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです(国税庁「No.2020 確定申告」)。令和8年分であれば、2027年2月16日(火)から3月15日(月)が原則の期間になります。年末調整を受けたからといって確定申告ができなくなるわけではなく、年末調整は「本業の給与分の中間精算」、確定申告は「1年分の最終精算」と考えると位置づけがわかりやすくなります。
年末調整の対象になるもの・ならないもの|副業の収入はどう扱われるか
国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」によると、年末調整は原則として扶養控除等(異動)申告書を提出している人全員について行います。ただし、次のような人は対象になりません。
- 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
- 2か所以上から給与を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、申告書を提出していない人(月額表・日額表の乙欄が適用される人)
- 年の中途で退職した人のうち、一定の要件に当てはまらない人 など
また、年末調整の対象となる給与は、その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与です。年の途中で転職した人が前の会社にも扶養控除等(異動)申告書を出していた場合は、前職の給与も含めて年末調整をします(国税庁「No.2668 年末調整の対象となる給与」)。
これを副業の形態ごとに整理すると、次のようになります。
| 副業の形態 | 所得区分の例 | 本業の年末調整で精算されるか | 精算の方法 |
|---|---|---|---|
| 業務委託・ライティング・コンサルなど | 雑所得または事業所得 | されない | 確定申告(要否は後述) |
| 他社でのアルバイト・パート | 給与所得(従たる給与) | されない | 原則として確定申告 |
| 年の途中で辞めた前職の給与 | 給与所得 | 前職で申告書を出していれば含めて精算 | 前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出 |
業務委託の副業が雑所得になるか事業所得になるかは、規模や継続性などで判断が分かれます。区分の考え方は雑所得の確定申告ガイド、事業として届け出る場合の手続きは副業で個人事業主になる手続きで解説しています。
「年末調整で精算されない」と「書類に書かない」は別の話
ここで混同しやすいのが、副業の収入は年末調整で精算されないのに、年末調整の書類には副業の所得が関係する、という点です。基礎控除や配偶者控除の額は、本人の合計所得金額(給与所得と、給与以外の所得の合計)で決まります。そのため基礎控除申告書には「給与所得以外の所得の合計額」を書き込む欄が設けられています。詳しくは後の「申告書の書き方」で説明します。
令和8年分の年末調整の変更点|基礎控除の引上げと給与所得控除の最低保障額
国税庁は「令和8年分年末調整のしかた(手順などの説明)」を公表しており、令和8年分の年末調整では次の4つの改正に注意するよう案内しています(2026年10月6日確認)。
- 基礎控除の引上げ
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ
- 扶養親族等の所得要件の改正
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例の創設
これらは令和8年度税制改正によるもので、基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件の改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます(国税庁「昨年と比べて変わった点」)。
基礎控除額は合計所得金額に応じて最大104万円に
令和7年分(2025年分)と令和8年分(2026年分)の基礎控除額を、国税庁のタックスアンサーで並べると次のとおりです(国税庁「No.1199 基礎控除」)。
| 本人の合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
令和7年分の段階表(95万・88万・68万・63万・58万円)は、2026年2〜3月に申告した2025年分の所得税に使われたものです。令和8年分では本則の基礎控除が62万円(改正前58万円)となり、合計所得金額に応じた加算額と合わせて上の表の金額になります。なお、令和10年分以後は132万円以下が99万円、それを超える2,350万円以下は62万円とされています。
給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ
給与所得控除の最低保障額は、令和8年分・令和9年分について65万円から74万円に引き上げられました。給与等の収入金額が220万円までは給与所得控除額が74万円で、220万円を超える部分の控除額に改正はありません(国税庁「No.1410 給与所得控除」)。あわせて、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は合計所得金額58万円以下から62万円以下に、特定親族の範囲は62万円超123万円以下に改正されています。
11月までの源泉徴収は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算
国税庁の「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」によると、令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更はありません。12月に行う年末調整で、改正後の基礎控除額などに基づいて1年分の税額を計算し、改正前の税額表で計算した源泉徴収税額との差額を精算します。改正後の源泉徴収税額表が使われるのは令和9年1月1日以後に支払う給与からです。
同じQ&Aでは、令和8年12月1日以後の年末調整で改正後の控除が適用されている人は、改正後の控除を受けるための確定申告は不要とされています。一方、年の途中で退職して年末調整を受けていない人などは、改正後の控除を受けるには確定申告が必要です。
副業がある人にとっての注意点は、基礎控除の段階が合計所得金額で決まることです。副業所得が加わって合計所得金額が489万円や655万円の境目を超えると、基礎控除額が1段階下がります。副業で税金がどのくらい増えるかの考え方は副業の税金シミュレーションで、計算の流れとあわせて解説しています。
副業がある人の申告書の書き方|迷いやすいポイントに絞って解説
令和8年分の年末調整で使う主な申告書は、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」で次のように整理されています。様式と記載例は「年末調整がよくわかるページ」に掲載されています。
| 申告書(公式名称) | 受けられる主な控除 | 副業がある人のチェックポイント |
|---|---|---|
| 令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除 | 提出するのは本業の勤務先のみ |
| 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除 | 合計所得金額の見積額に給与以外の所得も含める |
| 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分) | 本人が直接支払った国民年金保険料やiDeCoの掛金もここで申告できる |
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅借入金等特別控除(2年目以降) | 税務署から本人に交付される様式を使う |
扶養控除等(異動)申告書:提出先は本業の1か所だけ
扶養控除等(異動)申告書を提出した勤務先の給与が「主たる給与」、それ以外の勤務先の給与が「従たる給与」として扱われます(国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」)。副業先のアルバイトでも申告書の提出を求められることがありますが、本業で年末調整を受ける場合、副業先には扶養控除等(異動)申告書を出さないのが基本です。
令和8年分では、扶養親族等の所得要件の改正によって新たに扶養控除などの対象になる家族がいる場合、異動申告書の提出が必要になります。国税庁のQ&Aでは、このとき「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載するよう案内しています。年末調整の時期には翌年(令和9年分)の扶養控除等(異動)申告書もあわせて配られることが多いので、年分を取り違えないよう注意してください。
基礎控除申告書:「給与所得以外の所得の合計額」に副業所得を書く
副業がある人がもっとも迷うのが、兼用様式の左側にある「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」です。この表は「(1) 給与所得」と「(2) 給与所得以外の所得の合計額」に分かれていて、その合計が合計所得金額の見積額になります。
- (1) 給与所得:本業の給与収入から給与所得控除を差し引いた見込額。国税庁の記載説明では、2か所以上から給与を受けている場合はその給与の全部を基に計算するとされています。副業のアルバイト給与もここに含めます。
- (2) 給与所得以外の所得の合計額:業務委託などの副業は、収入から必要経費を差し引いた所得の見込額を記入します。売上(収入)をそのまま書く欄ではありません。
- 区分と控除額:(1)と(2)の合計額に応じて、該当する区分にチェックし、基礎控除の額を記入します。令和8年分は489万円以下なら104万円です。
12月時点では副業の年間所得が確定していないことも多いため、ここはあくまで「見積額」です。最終的な所得金額は確定申告で確定させます。経費として計上できるものの範囲は副業の経費にできるものを参考にしてください。
計算例:副業所得で基礎控除の段階が変わるケース
仮に、本業の給与年収が650万円、業務委託の副業所得(収入-経費)が年30万円の人を考えます。数字は説明用の仮定です。
- 給与所得:650万円-給与所得控除174万円(650万円×20%+44万円)=476万円
- 合計所得金額の見積額:476万円+30万円=506万円
- 令和8年分の基礎控除:489万円超655万円以下に該当するため67万円
給与所得だけで見ると476万円で104万円の区分に入りますが、副業所得を加えると67万円の区分に移ります。基礎控除申告書に副業所得を含めずに記入すると、年末調整では実際より大きい基礎控除で計算されることになります。どちらにしても副業所得が20万円を超える場合などは確定申告で最終的に精算しますが、書類は様式の指示どおりに見積額を記入しておくのが基本です。
配偶者控除等・所得金額調整控除の欄
配偶者控除・配偶者特別控除は、本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。副業所得を加えた見積額で判定する点は基礎控除と同じです。また所得金額調整控除の「給与の収入金額が850万円を超えるか」の判定は、主たる給与の支払者から受ける年末調整の対象となる給与の総額で行うとされています(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。
保険料控除申告書:自分で払った社会保険料も本業の年末調整で
生命保険料・地震保険料のほか、給与から差し引かれていない社会保険料や小規模企業共済等掛金で本人が直接支払ったものも、保険料控除申告書で控除を受けられます。国民年金保険料や国民年金基金の掛金、小規模企業共済等掛金は証明書類の提出または提示が必要です。令和8年分は、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例が創設され、一般生命保険料控除の適用限度額が6万円(改正前4万円)とされています。生命保険料控除全体の上限は12万円で変わりません。
副業がアルバイト等の給与所得の場合(2か所給与)
副業が他社でのアルバイトやパートで、給与として支払われている場合は「2か所給与」になります。扱いは国税庁の「No.2520」で次のように説明されています。
- 主たる給与:扶養控除等(異動)申告書を提出している勤務先の給与。源泉徴収税額は税額表の「甲欄」で求めます。
- 従たる給与:それ以外の勤務先の給与。源泉徴収税額は税額表の「乙欄」で求めます。
- 従たる給与は原則として年末調整できないため、本人が確定申告をして精算する必要があります。
確定申告が必要かどうかは、国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」の基準で判断します。2か所以上から給与を受けている人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。ただし、給与の収入金額の合計額から一定の所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の人は申告不要とされています。
「業務委託の副業所得が20万円以下なら申告不要」という1か所給与の基準と、2か所給与の基準は計算の仕方が違います。副業先からも源泉徴収票が交付されたら、本業の源泉徴収票とあわせて保管しておきましょう。乙欄で源泉徴収された税額は、確定申告で年間の税額と精算されます。
年末調整の後にやること|確定申告への接続
1か所から給与を受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている人は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁「No.1900」)。20万円の基準は所得税の確定申告に関するもので、住民税の申告は別に考える必要があります。この点は副業20万円以下でも住民税の申告が必要になる理由で詳しく整理しています。
確定申告をする場合、年末調整の結果は本業の源泉徴収票に反映されています。確定申告書には源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」などを転記し、副業所得と合わせて1年分の税額を計算します。年末調整で精算済みの税額は「源泉徴収税額」として差し引かれるので、二重に課税されるわけではありません。
- 12月〜翌1月:本業(と副業先)の源泉徴収票を受け取って保管する
- 1月〜2月:副業の収入と経費を1年分集計し、所得金額を確定する
- 2月16日〜3月15日:確定申告書を作成し、e-Taxまたは書面で提出する
申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成でき、e-Taxで自宅から送信することもできます。送信までの具体的な手順はe-Taxのやり方で、マイナンバーカード方式とID・パスワード方式に分けて解説しています。白色申告と青色申告の違いは青色申告と白色申告の違い、取引先からインボイス登録を求められている場合は副業とインボイス制度も確認してください。
副業の帳簿づけは年内から始めておく
年末調整の時期は、副業の年間所得を見積もるタイミングでもあります。ここで収入と経費の記録が整っていると、基礎控除申告書の見積額も、翌年の確定申告もスムーズです。取引件数が少ないうちは、白色申告向けの機能を無料で使えるプランがあるやよいの白色申告 オンライン
のようなソフトから始める方法があります。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込みたい場合は、連携機能で比較するとよいでしょう。両者の違いはやよいとマネーフォワードの比較でまとめています。
年末調整が終わったら、次は確定申告の準備です。源泉徴収票の金額と副業の収入・経費をまとめて入力できるソフトを使うと、申告書の作成から e-Tax での提出までを1つの流れで進められます。マネーフォワード クラウド確定申告は1ヶ月無料・クレジットカード登録不要で試せます(2026年9月公式確認)。
マネーフォワード クラウド確定申告操作の流れはマネーフォワード クラウド確定申告の使い方で解説しています。なお、ソフトは集計と書類作成を助ける道具です。所得区分の判定や経費の可否などの税務判断は、税務署または税理士に確認してください。
確定申告の具体的な進め方は、e-Taxで自分で提出する方法(e-Taxのやり方)のほか、スマホアプリだけで記帳から提出まで完結させる方法もあります。対応範囲の比較は確定申告スマホアプリ比較をご覧ください。
会社に副業がバレる経路と年末調整の関係
「年末調整の書類から副業がバレるのでは」と心配する人は少なくありません。年末調整の書類との関係を、事実ベースで整理しておきます。
- 基礎控除申告書は勤務先に提出する書類です。「給与所得以外の所得の合計額」欄に記入した金額は、勤務先の年末調整担当者が確認する前提の情報になります。
- 副業先のアルバイト給与(従たる給与)は本業の年末調整の対象外なので、副業先の源泉徴収票は本業の年末調整のために提出する書類ではありません。確定申告で使うために自分で保管します。一方、年の途中で転職した場合の前職の源泉徴収票は、新しい勤務先の年末調整に必要です。
- 扶養控除等(異動)申告書は、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合した様式になっています(国税庁「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」)。
会社に副業が伝わる経路として一般によく挙げられるのは、年末調整そのものよりも、翌年度の住民税の特別徴収(給与天引き)です。住民税の徴収方法について、総務省は特別徴収と普通徴収の2つの方法を説明しています(総務省「個人住民税」)。確定申告書には給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税を「自分で納付」とする選択欄がありますが、対象は給与以外の所得に限られ、実際の扱いは市区町村の運用によって希望どおりにならない場合があります。
住民税・社会保険など、副業が会社に伝わる経路と正しい手続きは副業が会社にバレる仕組みと対策で、市区町村の公表情報をもとに整理しています。住民税の徴収方法の詳細は副業の住民税ガイドも参照してください。そもそも副業が認められているかは、勤務先の就業規則で確認しておくことが前提です。
提出期限と、記載を間違えたときの対応
年末調整は、その年最後に給与を支払うときに行うため通常は12月に行われます(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。申告書の提出期限は勤務先が設定するため、社内の案内に従ってください。令和8年分については、12月1日からの改正を反映した書類を同日前から提出しても差し支えないと国税庁のQ&Aで示されています。
年末調整の後、12月31日までに扶養親族の数が変わった場合は、年末調整のやり直しができます。やり直しをしない場合は、本人が確定申告をすることで還付を受けられます(国税庁「No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき」)。記入漏れや誤りに気づいた場合も、まずは勤務先の担当部署に相談し、対応が間に合わないときは確定申告で正しい控除額を申告して精算するのが基本的な流れです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 副業先でも年末調整を受けられますか?
年末調整を受けられるのは、扶養控除等(異動)申告書を提出した勤務先(主たる給与の支払者)の1か所です。他の勤務先から受ける従たる給与は乙欄で源泉徴収され、原則として年末調整できないため、本人が確定申告で精算します。
Q2. 業務委託の副業収入は年末調整の書類に書く必要がありますか?
副業所得そのものは年末調整で精算されませんが、基礎控除申告書の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」には「給与所得以外の所得の合計額」を記入する欄があります。業務委託の副業は、収入から必要経費を差し引いた所得の見込額をここに記入します。
Q3. 副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収の対象であり、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則不要です(国税庁No.1900)。ただし2か所から給与を受けている場合は判定方法が異なります。また、住民税の申告は所得税とは別に必要になることがあるため、お住まいの市区町村に確認してください。
Q4. 令和8年分の基礎控除の引上げを受けるには確定申告が必要ですか?
令和8年12月1日以後の年末調整で改正後の控除が適用されている人は、そのための確定申告は不要です。年の途中で退職して年末調整を受けていない人などは、改正後の控除を受けるために確定申告が必要とされています(国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」)。
Q5. 副業先の源泉徴収票は本業の会社に提出しますか?
本業と並行して働いている副業先の給与(従たる給与)は本業の年末調整の対象外なので、本業の年末調整のために提出する書類ではありません。確定申告で使うため自分で保管します。年の途中で転職した場合の前職の源泉徴収票は、新しい勤務先の年末調整に必要です。
Q6. 年末調整を受けた後でも確定申告はできますか?
できます。確定申告では本業の源泉徴収票の金額と副業の所得を合わせて1年分の税額を計算し、年末調整で精算済みの税額は源泉徴収税額として差し引きます。年末調整と確定申告で同じ所得に二重に課税されるわけではありません。
Q7. 年末調整の書類を提出した後に間違いに気づいたらどうすればいいですか?
まずは勤務先の担当部署に相談してください。12月31日までに扶養親族の数が変わった場合などは年末調整のやり直しができます(国税庁No.2671)。年末調整で訂正できなかった場合は、確定申告で正しい控除額を申告して精算します。
まとめ|年末調整は本業1か所、副業分は確定申告で精算
- 年末調整は扶養控除等(異動)申告書を出した本業の勤務先1か所で受け、精算されるのはその給与分だけ
- 基礎控除申告書の合計所得金額の見積額には、副業などの給与所得以外の所得も含める
- 令和8年分は基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられ、12月の年末調整でまとめて精算される
- 副業がアルバイト等の従たる給与なら、原則として確定申告で精算する
- 確定申告の期間は原則翌年2月16日〜3月15日。源泉徴収票を保管し、副業の所得を集計しておく
年末調整が終わったら、副業の帳簿を年内に締めて確定申告に備えましょう。明細の自動取り込みに対応したマネーフォワード クラウド確定申告
のようなソフトを使うと、所得金額の集計から申告書の作成までをまとめて進められます。
参考にした公的情報
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ」
- 国税庁「令和8年分年末調整のしかた(手順などの説明)」
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた|昨年と比べて変わった点(PDF)」
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(PDF)」
- 国税庁タックスアンサー No.1199/No.1410/No.2520/No.2665/No.1900
本記事の内容は2026年10月6日時点で国税庁・総務省の公式ページで確認したものです。税制は改正されることがあります。手続きの際は国税庁の最新情報を確認し、個別の判断については所轄の税務署または税理士にご相談ください。

